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A型インフルエンザにかかった後もワクチンは必要? 今季の3価ワクチンと流行する型

資料確認:2026年10月14日

「今年はもうA型にかかったので、ワクチンは打たなくていいですか?」という疑問があります。一度つらい思いをすると、今季はもう大丈夫と思いたくなりますよね。

今季まだ接種していない方は、A型にかかった後も、回復してからワクチン接種を検討できます。A型にも種類があり、B型もあります。今回かかったウイルスへの免疫が、ほかの種類まで十分に守ってくれるとは限らないためです。[4]

回復後にインフルエンザワクチンについて相談する場面
回復後のワクチン相談

A型にかかっても、すべてのインフルエンザに免疫がつくわけではありません

季節性インフルエンザの主な種類は、A(H1N1)pdm09、A(H3N2)、B型(ビクトリア系統)です。H1N1とH3N2は、どちらもA型ですが、異なる亜型です。

一つのウイルスにかかった後は、それに対する免疫ができます。ただし、別の亜型やB型に対する免疫まで十分に得られるわけではありません。同じシーズンに別のインフルエンザにかかることもあります。[4]

通常の迅速検査で「A型陽性」と分かっても、H1N1かH3N2かまでは区別しません。当院の鼻腔用パンビオもA型・B型を調べる検査です。「A型だった」という結果だけで、今回どの亜型にかかったかを断定することはできません。

今季のワクチンに含まれる3種類

2026/27シーズンの日本の注射用インフルエンザHAワクチンは3価です。「3価」は、3種類のウイルスに対応する成分を含む、という意味です。A型1種類・B型2種類ではなく、A型2種類・B型1種類です。[1]

B型の山形系統は今季の3価HAワクチンに含まれていません。製造株は次のとおりです。ここでいう「株」は、ワクチン製造に使うウイルスの具体的な名称です。

2026/27シーズンの注射用HAワクチン

  1. A(H1N1)pdm09A/スイス/6849/2025(IVR-278)
  2. A(H3N2)A/ミシガン/105/2025(SAN-049A)
  3. B型・ビクトリア系統B/東京/EIS13-175/2025
A型2種類とB型1種類の、合計3種類を含みます。 [1]

2026年秋、埼玉県で確認されている型は?

2026年10月14日に確認した埼玉県の資料では、第40週(9月28日~10月4日)の患者報告は3,461人、定点当たり19.66人で、流行注意報が発令中とされています。[2]

型を詳しく調べた県の病原体サーベイランスでは、第36~40週の集計(10月6日時点)はA(H1N1)pdm09が124件、A(H3N2)が5件、B型は0件でした。今秋のこの集計では、A型、とくにH1N1が中心です。これは提出された検体の検出数で、県内の全患者数や、当院の患者さんの内訳ではありません。[2][3]

昨冬の資料に出てくる「H3N2・サブクレードKが多い」という情報と、今秋の集計は分けて読む必要があります。埼玉県が公表した2025年第36~45週のH3N2の遺伝子解析では、解析した64件中63件がサブクレードKでしたが、この数字を今秋にそのまま当てはめることはできません。[2]

今はB型が検出されていなくても、冬から春まで同じ流行が続くとは限りません。今かかった型だけで、残りのシーズンの接種の必要性を決めないことが大切です。

治ってから、いつ接種すればよいですか?

発熱している間や、体調が十分に戻っていないときは、まず回復を優先します。明らかな発熱や重い急性疾患がある場合は接種に適しません。[6]

熱が下がり、普段の食事や生活に戻れるようになったら、接種時期をご相談ください。「感染したら必ず1か月待つ」といった一律の日数で決めるのではなく、回復の程度、年齢、持病、接種歴を確認して判断します。接種による免疫ができるまでには、通常約2週間かかります。ワクチンは、今かかっているインフルエンザを治す薬ではありません。[5][7]

予約時には「いつ発症したか」「いつ熱が下がったか」「今季のワクチンをすでに何回受けたか」をお知らせください。

接種を考える順番

  1. 今季の接種歴未接種か、必要な回数が残っているかを確認。
  2. 体調の回復発症日・解熱日・現在の症状を伝える。
  3. 回復後に接種を相談別の亜型やB型への備えを考える。
病気にかかった回数と、ワクチンの接種回数は別に確認します。

すでに接種した方や、お子さんの場合

今季の必要な接種を終えた方が、その後にA型にかかったからといって、通常さらに追加接種するわけではありません。今回は、今季まだ接種していない方、必要な回数が終わっていない方の相談が中心です。

国内の通常の注射用HAワクチンでは、6か月以上13歳未満は2回接種、13歳以上は一般に1回接種が基本です。使用製剤や医師の判断によって異なる場合があります。2回接種が必要なお子さんで、途中でインフルエンザにかかった場合も、感染を「ワクチン1回分」と数えず、回復後に残りの接種を相談します。[6]

高齢の方、腎臓病・糖尿病などの持病がある方、妊娠中の方は、重症化への備えも踏まえてご相談ください。過去の接種で強いアレルギー反応が出た方も、事前にお知らせください。[4][6]

「A型にかかったから不要?」への答え

今回かかったウイルスには免疫がついていますが、A型には別の亜型があり、B型もあります。まだ今季の接種を受けていなければ、体調が戻ってからワクチンを検討しましょう。

ワクチンには、発症の可能性を下げ、重症化を減らす意義があります。効果の程度は年齢や流行するウイルスとの一致などで変わりますが、一度かかったことだけを理由に、ほかの種類への備えまでやめる必要はありません。[5]

当院ではインフルエンザの予防接種を行っています。接種歴と回復状況を確認し、今季の接種についてご案内します。予約はWebからお進みいただけます。

参考資料

  1. 厚生労働省:令和8年度インフルエンザHAワクチン製造株の決定(2026年6月4日)
  2. 埼玉県:インフルエンザ流行情報・病原体サーベイランス(2026年10月7日掲載、検出集計10月6日時点)
  3. 埼玉県:2026年第36~40週の年齢階級別・型別検出数(公式Excel)
  4. CDC / ACIP:2024–25 influenza vaccination recommendations — vaccination after illness
  5. CDC:Key Facts About Seasonal Flu Vaccine — benefits and time to develop protection
  6. PMDA:インフルエンザHAワクチン「生研」電子添文(2026年7月、第10版)※国内HAワクチンの例
  7. CDC:Clinical Guidance for Seasonal Influenza Vaccine Safety
大西 剛史

2008年に東京医科歯科大学を卒業し、大学病院・武蔵野赤十字病院・秀和総合病院・春日部中央総合病院などで研鑽を積み、春日部大西毎日腎クリニックを開院いたしました。 専門は腎臓透析領域で、保有資格は、腎臓科専門医・指導医、透析専門医・指導医、綜合内科専門医。腎臓内科、総合診療外来、皮膚科・泌尿科を含むオンライン診療の経験があり、多岐にわたる診療が得意。

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