eGFRが60なら、腎臓の働きは60%なのでしょうか。結果票の数字を、残っている機能の割合のように読んでしまうことがあります。
eGFRは、腎臓が血液をろ過する力を推定した値です。結果を読むには、その単位と計算の仕方、そして時間の経過を押さえると理解しやすくなります。

数字の後ろにある「mL/分/1.73m²」
GFRは腎臓のろ過する働きを表し、先頭のeは「推定」を意味します。結果に付くmL/分/1.73m²は、標準的な体表面積にそろえた単位です。百分率ではないため、eGFRをそのまま「残り何%」とは読みません。この記事は成人の検査結果を対象としており、小児では推算式や評価方法が異なります。
日本人成人向けのクレアチニンによる推算式には、年齢と性別も使われています。クレアチニンが同じでも、計算されるeGFRは変わります。日本人のeGFR推算式の研究
eGFRは、この3つを合わせて読みます
- 今回の値と単位腎臓のろ過する力の推定値で、残りの機能の百分率ではありません。
- 過去からの変化昨年、一昨年の結果と比べ、変化が続いているかを見ます。
- 尿検査と体調尿の所見、持病、年齢なども合わせて評価します。
昨年の結果が、今回の診療に役立つ
今回の値だけでなく、昨年、一昨年の結果を並べてみてください。以前から同じ程度なのか、最近変化したのかを見分ける材料になります。
慢性腎臓病(CKD)の判断では、腎臓の異常が3か月以上続いているかを確認します。国際指針でも、偶然見つかったeGFR低下について、再検査や過去の記録から評価することが示されています。この「3か月」は受診を待つ期間ではありません。急な悪化が疑われるときは、早く調べる必要があります。KDIGO 2024
同じeGFRでも、尿検査まで見ると違いがある
尿中のアルブミンも、腎臓を評価する手がかりです。一般住民の研究をまとめた解析では、eGFRとアルブミン尿は、それぞれ死亡や心血管系のリスクと関連していました。eGFR・アルブミン尿と予後の共同メタ解析
そのため、採血と尿検査を組み合わせて読みます。集団の研究で示された関連を参考にしながら、実際の診療では原因、持病、年齢などを重ねて、その方の経過を考えていきます。
シスタチンCを加えると分かること
クレアチニンとは別の血液マーカーに、シスタチンCがあります。2021年の推算式の開発・検証研究では、両方を使った式の方が、クレアチニンだけの新しい式より正確でした。Inkerらの研究
ここでいう正確さは、研究対象者全体で見た誤差の小ささです。推定の幅は残り、海外で検証された式を日本人向けの式とそのまま置き換えることもできません。
診療では、筋肉量の影響が大きそうか、薬の量などを決めるために詳しい評価が必要かを考え、追加検査を選びます。数値が少し動いたときも、その変化だけで良化・悪化を決めず、前後の経過を見ます。
結果票を持って、次に調べることを相談する
受診時には、今回と過去の採血・尿検査、お薬手帳をお持ちください。家庭血圧の記録があれば、それも役立ちます。再検査の時期や、どの変化に注意して経過を見るかを相談できます。
当院では紹介状なしでの受診や、他院に通院しながらの腎臓の相談を受け付けています。
参考文献
- Matsuo S, et al. Revised equations for estimated GFR from serum creatinine in Japan. Am J Kidney Dis. 2009;53:982–992. PubMed
- Levin A, et al. Executive summary of the KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease: known knowns and known unknowns. Kidney Int. 2024;105:684–701. DOI
- Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium. Association of estimated glomerular filtration rate and albuminuria with all-cause and cardiovascular mortality: a collaborative meta-analysis of general population cohorts. Lancet. 2010;375:2073–2081. 論文
- Inker LA, et al. New Creatinine- and Cystatin C–Based Equations to Estimate GFR without Race. N Engl J Med. 2021;385:1737–1749. DOI