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健診で腎機能の低下や尿蛋白を指摘されても、体調に変化を感じないことがあります。慢性腎臓病(CKD)は、こうした検査の異常から見つかることの多い病気です。日本腎臓学会の2024年の推計では、国内の成人の約5人に1人にみられます。[1]
CKDと診断された方が全員透析になるわけではありません。原因、尿蛋白の量、腎機能が変わる速さを確かめ、治療と検査の間隔を決めていきます。
「3か月以上続く異常」が診断の条件
CKDは一つの病名というより、腎臓の障害や働きの低下が続いている状態の総称です。次のいずれか、または両方が3か月以上続く場合に診断します。[2]
- 蛋白尿・アルブミン尿、腎臓由来の持続する尿所見、画像・病理検査の異常など、腎障害を示す所見がある。
- eGFRが60mL/分/1.73m²未満に低下している。
一度の異常で慢性の病気と決めつけず、以前の健診結果や再検査で確かめます。ただし、この3か月は受診を待つ期間ではありません。急な腎機能の悪化、尿量の減少、強いむくみなどがあれば早く評価します。血尿については、腎臓以外の尿路の病気も含めて原因を調べます。
eGFRだけで重症度を決めない
eGFRは、血液をろ過する腎臓の働きを推定した数値です。G1からG5までの区分があり、G3はaとbに分かれます。単位はmL/分/1.73m²で、「残っている腎機能の百分率」ではありません。
- G1:90以上、G2:60〜89
- G3a:45〜59、G3b:30〜44
- G4:15〜29、G5:15未満
G1・G2は、ほかの腎障害所見がなければ数値だけではCKDと診断しません。同じGFR区分でも、尿蛋白・アルブミン尿の量や原因によって今後の見通しが変わります。そのため、原因、GFR区分、アルブミン尿・蛋白尿の区分を組み合わせて評価します。[2]
腎機能がかなり低下した段階では、透析や移植などの準備も相談します。G5になったら直ちに透析、という決め方ではなく、症状や体液量、検査値、ご本人の希望を合わせて判断します。
原因を調べると、治療の選択肢が変わる
糖尿病に伴う腎障害、高血圧などに関係する腎硬化症、IgA腎症を含む糸球体腎炎、多発性嚢胞腎など、CKDの背景はさまざまです。採血・尿検査・画像検査に加え、病状によって専門的な検査を検討します。
初期には症状が乏しく、進行しても症状の出方は一定ではありません。腎臓は尿を作るほか、体内の水分や電解質、造血ホルモン、ビタミンDの活性化にも関わります。働きが落ちると、むくみ、貧血、疲れやすさ、骨やミネラルの異常などが問題になることがあります。
食事と薬を、検査結果に合わせて見直す
血圧や糖尿病の管理、禁煙、体力に合った運動、減塩を進めます。食塩は一般に1日6g未満が目安ですが、食事量や脱水なども考慮します。肉や魚を自己判断で大きく減らすと、低栄養や筋肉量の低下につながります。たんぱく質・カリウム・リンは、病状と検査値に応じて調整します。
薬も原因や蛋白尿の程度によって選びます。DAPA-CKDとEMPA-KIDNEYでは、一定の条件を満たすCKDの患者さんで、SGLT2阻害薬による腎疾患の進行等を減らす効果が示されました。研究の対象には糖尿病のない方も含まれますが、すべてのCKDに同じ薬が必要という意味ではありません。[3,4]
診察では今回の値に加え、過去の結果を比べます。健診結果、お薬手帳、家庭血圧の記録をお持ちください。当院では紹介状がない方や、他院への通院を続けながら腎臓について相談したい方も受診できます。
参考文献・一次資料
- 日本腎臓学会.腎臓病ガイド(CKD診療ガイド2024に基づく国内推計).
- KDIGO. 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of CKD. Kidney International. 2024;105(Suppl 4S):S117–S314.
- Heerspink HJL, et al. Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease. N Engl J Med. 2020;383:1436–1446. DOI:10.1056/NEJMoa2024816.
- EMPA-KIDNEY Collaborative Group. Empagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease. N Engl J Med. 2023;388:117–127. DOI:10.1056/NEJMoa2204233.