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高血圧・生活習慣病

夜に血圧が高いとき、降圧薬を追加で飲んでもよい?

資料確認:2026年10月18日

寝る前に血圧を測ったら、いつもより高い。「もう1錠飲んで下げてから寝たほうがよいのでは」と心配になるかもしれません。そんなときは、薬を足す前に、症状と測り直した値を確認しましょう。

夜の家庭血圧を測る場面
夜の家庭血圧を測る場面

胸の痛みや麻痺があるときは、血圧の数字より症状を優先します

胸が痛い、息苦しい、急に片側の手足が動かしにくい、言葉が出ない、意識がおかしい、突然の激しい頭痛や背中の痛み、急な見え方の異常。こうした症状があるときは、血圧の高さにかかわらず119へ連絡してください。何度も測って様子を見たり、追加の薬が効くのを待ったりしないでください。自分で車を運転して受診するのも避けましょう。[5]

血圧が高いときの対応は、「何mmHgか」だけでは決まりません。脳や心臓などに急な異常が起きていないかが重要です。

症状がなければ、まず座って休み、測り直します

緊張、痛み、寒さ、直前の活動などで血圧が上がることがあります。気になる症状がなければ、静かな場所で椅子に座り、5分ほど休みます。背中を支え、足を組まず床につけ、腕を心臓の高さで支えてください。上腕に合ったカフを素肌に巻き、話さずに測ります。[6]

1分ほど間隔を空けて2回測り、両方の値と時刻を記録します。数字が下がるまで何十回も測り続けると、不安や緊張が強くなることもあります。[6]

夜に血圧が高かったときの確認
  1. 胸痛・息苦しさ・麻痺などがある

    測り直しや追加薬を待たず、119へ

  2. 気になる症状がない

    5分ほど休み、1分間隔で2回測る

  3. 再測定でも上180以上 または 下120以上

    症状がなくても、その夜に医療機関へ相談

  4. それ未満でも、高い日が繰り返される

    記録を持って、早めに普段の治療を相談

症状があれば数値にかかわらず救急相談を優先します。妊娠中・産後は別の基準で対応します。

休んで測り直しても、上が180以上、または下が120以上の場合は、症状がなくてもその夜のうちに夜間診療・救急相談へ連絡してください。上と下の両方が高くなるまで待つ必要はありません。連絡先で、測定値と症状、飲んでいる薬を伝えます。[4][5]

妊娠中・産後はこれより低い血圧でも急いで対応する場合があります。この数値を待たず、産科の指示に従って相談してください。

以前行われた「その場で急に下げる方法」が勧められない理由

以前は、血圧が急に上がったときに、短時間作用型のニフェジピンを使って速く下げようとする方法が行われていました。カプセルをかみ砕いたり、口の中に含んだりして速効性を期待する使い方もありました。

しかし、急に下がり過ぎると、脳・心臓・腎臓へ流れる血液が不足するおそれがあります。国内の安全性情報では過度の降圧や反射性の頻脈への注意が示され、海外でも著しい低血圧、心筋梗塞、死亡の報告を踏まえ、短時間作用型ニフェジピンによる急な降圧を行わないよう警告されています。[1][2][3]

「血圧を下げることが悪い」のではありません。長く高血圧が続いている体では、その場で一気に正常値へ戻すことが負担になり得るため、安全な速さで、日々の血圧を整える治療を行います。

自己判断での追加服用後にふらつく女性と、追加せず休息して落ち着いて測り直す女性の比較
左:追加服用で血圧が下がり過ぎ、ふらつくことがあります。右:追加せず休息するうちに、一時的な上昇が落ち着くこともあります。普段の処方薬は指示どおりに続けます。

普段のニフェジピンや降圧薬を、やめる必要はありません

同じニフェジピンでも、ゆっくり効く徐放錠を毎日処方されている方がいます。これは、短時間作用型を使って急に下げようとする話とは区別してください。普段の薬は処方どおりに続け、この記事を読んで中止しないでください。[1][6]

他の降圧薬でも、自己判断で量を増やすと、あとから効き過ぎることがあります。「前にもらった薬が残っている」「家族の薬がある」という場合も使わないでください。

医師から「この薬を、この条件で、この量だけ追加する」と個別に指示されている場合は、その指示に従います。条件が曖昧なら確認しましょう。飲み忘れた場合も、まとめて2回分を飲むのではなく、薬ごとの説明を確認し、不明なら薬剤師や処方元へ相談してください。

夜に高い日が続くなら、普段の治療を見直す機会です

緊急の症状や非常に高い値がなくても、夜の高い血圧が繰り返される場合は、記録を持って早めにご相談ください。朝・夜の値、服薬した時刻、飲み忘れ、痛みや体調の変化も分かると、治療を考える手がかりになります。[4][6]

追加の1錠でその晩だけ下げ続けるより、薬の種類・量・服用時刻などを主治医と調整し、1日を通して安定させることを目指します。必要な治療の強化まで避けるという意味ではありません。

なお、寝る前に起きて測る血圧と、眠っている間の血圧は別です。寝る前の1回の値だけで、睡眠中の「夜間高血圧」とは判断できません。

受診時は、血圧の記録とお薬手帳をお持ちください

当院では、血圧の経過や現在の治療、腎機能などを合わせて診療します。「夜に高くなるので不安」「追加の薬をもらっているが、いつ飲むのか分からない」といったことも、そのままお伝えください。

高い数字を見て不安になるのは自然です。薬を足して数字を追いかける前に、症状を確認し、落ち着いて測り直しましょう。急ぐべきときにはその夜に相談し、繰り返すときは日々の治療を整えていきます。

参考資料

  1. PMDA.ニフェジピンカプセル・錠・細粒「ツルハラ」電子添文(2024年改訂)
  2. 厚生労働省.医薬品・医療用具等安全性情報 No.183(2001年):ニフェジピンの舌下投与等への注意
  3. DailyMed. Nifedipine capsules: warnings on acute blood-pressure reduction
  4. AHA/ACC. 2025 High Blood Pressure Guideline: Top Things to Know
  5. AHA. When To Call 911 About High Blood Pressure(日本の救急要請は119)
  6. AHA. Home Blood Pressure Monitoring
  7. Bress AP et al. Management of Elevated Blood Pressure in the Acute Care Setting: AHA Scientific Statement, 2024(公式要約)
大西 剛史

2008年に東京医科歯科大学を卒業し、大学病院・武蔵野赤十字病院・秀和総合病院・春日部中央総合病院などで研鑽を積み、春日部大西毎日腎クリニックを開院いたしました。 専門は腎臓透析領域で、保有資格は、腎臓科専門医・指導医、透析専門医・指導医、綜合内科専門医。腎臓内科、総合診療外来、皮膚科・泌尿科を含むオンライン診療の経験があり、多岐にわたる診療が得意。

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