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心不全の治療中にクレアチニンが上がった。腎臓病で通院していたら、足のむくみや息切れが出てきた。こうしたときは、心臓と腎臓の状態を一緒に確かめます。両者が互いに影響する関係を「心腎連関」と呼びます。
血液が届きにくい場合と、戻りにくい場合がある
心臓から送り出す血液が減ると、腎臓に届く血液も少なくなります。一方、心不全では静脈側に血液が滞り、腎臓にも圧がかかります。この「うっ血」も、腎機能を悪化させる原因です。
腎臓が塩分や水分を十分に排出できなくなると、今度は体内の水分が増え、心臓に負担がかかります。血圧を調節する神経・ホルモンの働きや、腎性貧血も関係します。採血の数字だけを見ても、どの要因が強いのかは分かりません。[1]
診察では、体重と息切れの変化も確認する
「いつもの階段で休むようになった」「横になると息苦しい」「靴がきつくなった」といった変化は、診察で伝えてください。数日で体重が急に増えたときも、食事による増加なのか、水分がたまったのかを確かめます。
検査ではクレアチニン・eGFR、電解質、貧血、尿蛋白などを調べ、心電図、胸部レントゲン、心エコーなどを病状に応じて組み合わせます。BNPやNT-proBNPも参考になりますが、腎機能などの影響を受けるため、一つの値だけで心不全を判断する検査ではありません。[1]
安静にしていても強く息苦しい、胸痛がある、意識がはっきりしない場合は、通常の外来予約を待たず119番で救急対応を求めてください。
薬の選び方は、心不全のタイプによって変わる
心臓の収縮力が低下した心不全では、ACE阻害薬・ARBまたはARNI、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬が治療の柱になります。血圧、腎機能、血清カリウム、服用後の体調を確認しながら選びます。すべての心不全に同じ組み合わせを使うわけではありません。[1]
SGLT2阻害薬は糖尿病の薬として使われてきましたが、心不全やCKDでも一定の患者群に効果が示されています。DAPA-HFは主に収縮力の低下した心不全、DELIVERは軽度低下または保たれた心不全、DAPA-CKDはCKDを対象とした試験です。「心臓と腎臓に良い薬」という説明だけでなく、どの病態に対する治療なのかを確認します。[2–4]
利尿薬は、余分な水分を減らして息切れやむくみを改善するために使います。量を調整するときは、うっ血が残っていないかと、脱水になっていないかの両方を見ます。自己判断で増減せず、体重や症状の変化を処方医へ伝えてください。
水分量と貧血も、原因に合わせて調整する
水を多く飲めば腎臓に良いとは限りません。反対に、飲む量を極端に減らして脱水になるのも問題です。むくみ、尿量、体重、血清ナトリウム、食事量などを見て、ご自身に合う量を決めます。減塩の進め方も一緒に相談します。
貧血には腎臓の病気だけでなく、鉄不足や出血などが関わる場合があります。鉄剤や腎性貧血の薬は原因に応じて選びます。腎性貧血に用いるESA製剤を、心不全そのものの治療として一律に使うわけではありません。[1]
受診時には、お薬手帳と、家庭で測った体重・血圧の記録をお持ちください。他院でも治療中の場合は、薬の変更や検査結果が分かる資料があると、心臓と腎臓の経過をつなげて確認できます。
参考文献・一次資料
- 日本循環器学会・日本心不全学会.2025年改訂版 心不全診療ガイドライン.
- McMurray JJV, et al. Dapagliflozin in Patients with Heart Failure and Reduced Ejection Fraction. N Engl J Med. 2019;381:1995–2008. DOI:10.1056/NEJMoa1911303.
- Solomon SD, et al. Dapagliflozin in Heart Failure with Mildly Reduced or Preserved Ejection Fraction. N Engl J Med. 2022;387:1089–1098. DOI:10.1056/NEJMoa2206286.
- Heerspink HJL, et al. Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease. N Engl J Med. 2020;383:1436–1446. DOI:10.1056/NEJMoa2024816.